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アラカン一代記
(2006-03-17)
一流のルポライターである著者が労力を惜しまず調査しインタビューした名優嵐寛寿郎の一代記をしたためたもので、またこれは一面チャンバラ映画史でもある。
戦前「鞍馬天狗」と「むっつり右門」でスターダムにのし上がり、自らの映画制作会社寛プロを設立、その後トーキーの出現とともに大手に飲み込まれる。戦争中の慰問話は全く第三者の立場で軍隊を見ていた貴重な証言。戦後も天狗、右門で活躍するが時代劇が衰微し、明治天皇役で大ヒット。新東宝の倒産とともにフリーになり、東映の「網走番外地」シリーズでやくざの親分役で復活。最期まで現役にこだわった。
しかし終の伴侶と決めていた人も亡くなる3ヶ月ほど前に籍を抜いて家を出て行ってしまったというのは寂しい最期だった。本人は抱腹絶倒の語り口で、飄々と生きてこられたようにお見受けしたが、実際一緒に生活していた女性の胸中は如何ばかりであったか?
映画を愛する全ての人々に読んで貰いたい。
(2005-08-18)
アラカン、語り口調がはんなりした関西弁で迫力はまるで無いのだけど、語る内容の迫力には圧倒される。このところメディアで弁舌を奮う老人たちの賢者を装った愚者ぶりにウンザリさせられるのだが、アラカンの生活体験から導き出した価値観の揺るぎなさ。こういう人こそ老賢者というのではないだろうか。
とカタイこという以前に、アラカンの好色話に抱腹絶倒、やたら「オメコ」を連発するのが可笑しくて仕方ない。
最近読んだ本の中ではダントツの面白さ。
竹中労とアラカンの、映画に対する愛情に泪すること間違いなし。
映画を愛する全ての人々に読んで貰いたい。
最高の読み物
(2003-11-16)
「元祖芸能レポーター」故竹中労が嵐寛十郎のその芸と人となりを聞き書きとして、最高の文芸に仕上げた作品。この本は限りなく優しく芸人に対する尊敬の念に貫かれている。
芸能レポートとはいや芸能に限らず、ルポとはかくあるべきという教科書のような作品。
しかも、アラカンに仮託して著者の歴史観を語り、思想を語る。私の目には戦後文学の最高傑作と写る。
とにかく一度読んでもらいたい。一度読んでもう一度読んでもらいたい。その上で再度読んでもらいたい。


