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ひたすら暗く、凄惨な「負」の心象風景
(2008-12-06)
不治の病、突然の残酷な死、未練と怨念を背負った幽霊、醜く弱く怪しく貧しく暗い子供たち、冷酷でみじめな老人や女、北国の空しく寂しい生活、腐臭のする恐ろしい自然。この世で健康に楽しく笑って生きようとするエネルギーを根こそぎ奪いかねない世界が描かれている。
「赤い蝋燭と人魚」や「月夜と眼鏡」「牛女」「殿様の茶碗」「野ばら」などのファンタジックな童話作家のイメージを抱いてこの短編集を読むと、失望する人は少なくないだろう。スケールは小さく、リズムに欠け、決して名文ではない。情景描写にははっとする部分もあるが、全体的に心理描写が浅く、人物に感情移入することが難しい。曖昧で唐突に終わるものが多い。
ただ、「弱者への優しい視線」「理屈で説明できない現象への興味」には独特のモチーフを感じる。人が見たくないもの、避けて通るものをあえてまじまじと見つめ、人間界は妖怪の世界より恐ろしく、汚く、悲しいのだと理解した著者が描く登場人物はほとんど皆、気味が悪く、残酷かシニカルかで、狭い世界で不自由に生きている。特に後半に収められている「捕われ人」「森の暗き夜」「扉」「悪魔」「僧」などは強烈におぞましい。最後の「貸間を探したとき」もぞっとするが、著者を突き動かした源が何なのかを知ることができる。苦痛や病への極度の恐れとともに性的な抑圧が潜在している感じもする。
「死は、人間の苦痛の極点である。死より、もう悲しいものはないのである」(362頁) でも、そこから広がっていく思想や、深まっていく哲学、どんな苦難の人生でも闘って生き抜く美学といった普遍的なものが感じられない。夜や月を死に結びつけ、赤や黒を不吉と考えるパターンは安易で薄っぺらい。怪奇小説の傑作と呼ぶには軽すぎる。
いまいち
(2008-10-13)
東雅夫さんが編纂したものはほとんど読んでいるが、
これはいまいち。
似たような話が多い。
読破するのがツラかった。
過剰な脚色
(2008-09-11)
文章がだらだらと長く、句点、情景描写、修飾語が多すぎ、ひとつの文で主語が変わる。
現代文としては悪文の範疇。
100年近く前の作品なので古い言葉や読みなれない漢字が多いのはやむえない。
哀しい、貧しい、暗い、周りの人の心にゆとりがないといった感じのストーリーが多い。
そんなところに関心を持つのが未明の性格、心情か。
多く使われる形容詞に「厭らしい」があるが、この本も厭らしさを感じないではない。
読んでいて疲れる。
幻想怪奇マニアのための贅沢な時間
(2008-08-15)
このシリーズはほとんど読んでいるが、子供のころの恐怖を書かせたらこの人の右にでるものはないのではないだろうか?
かくれんぼで遅くまで遊んで井戸の底から見あげる夕の星、嵐の中、両親を待つひとりぽっちの子供の焦燥感。誰もいない廃屋、帰りたいのに帰れない恐怖。
ホラーマニアにとって、極上の時間を過ごせる珠玉の短編。


