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西郷 信綱

平凡社

グループ:Book

ランキング:250929

価格:¥ 1,260

ポイント:12 pt

発売日:1993-06

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カスタマーレビュー

万物照応のマテリアリズム  (2008-11-22)
2008年9月25日、西郷信綱が亡くなった。
その広大な学問世界の僅か一端をも仰ぎ見るしかないような古典学の泰斗。
評者は、本書『古代人と夢』しか読めなかった。
それにしても、本書の気宇壮大、強靭かつ繊細な思考は!!

「夢をうつつとして」(本書カバー惹句)生きようとした古代人の精神に対する著者の仮説、そして何よりも「夢」などというおよそ唯物論に関わりがないと観念される(教条的マルクス主義者)事象を扱っていながらも、評者は本書をもって、最高の唯物論的文学論・精神史と考える。サヨク教条的文化論にはおよそ想像すら出来ない飛躍と見えよう。

中学レベルの古文読解力をも持たない評者(どこかの幕僚長の歴史認識と同じく)には、原典引用部分は苦痛である。しかし、事象の中に、事象に即して歴史を見るその手法は、優れて唯物論的であり、教条的な唯物論とはまるで違うマテリアリズムが息づいている。

白川静の論考とも響く、方法的なコレスポンダンス(万物照応、事物と至高の)を思わせた。
これぞ精神とモノと詩との悦ばしき知の結実なのだ。

大往生とは言え、また一人稀有なる本物の学者がいなくなった。合掌。

大胆な仮説  (2005-04-25)
 1972年に平凡社選書として出版されたものの文庫化。
 古典文学の世界観・文化的背景研究の中心であった著者が、古代人が夢をどのようなものとして捉えていたか、大胆な仮説を交えつつ語った一冊。
 古代から鎌倉初期までを、人々の実生活に夢が現実的な影響を与えた時代と措定し、法隆寺の夢殿、更級日記の長谷寺の夢などが分析される。夢とは神や仏の現出であり、事実の予兆であった。さらに黄泉の国とのつながりが指摘され、現実界と異世界とがつながれていく。
 古典文学を用いて古代世界を再構成する試みとしては最上級の一冊であろう。とはいえ方法論の面白さ、エッセイとしての巧みさから先に進むのは難しいだろう。



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